普通の学校の米作り体験は、せいぜい田植えと稲刈り
あとは、大人たちが頑張ってくれていつの間にか精米された米が手に入ります。
ただこの程度の体験だと、お米は簡単に手に入るものだと誤解してしまうかもしれません。
私は日之影町の山間僻地校に勤務したことがあり、そこで米作りを任された経験があります。
「ここの田んぼをどうぞ使ってください。」
と地域の方に言われて始めた棚田での米作り。
夕映えで美しい棚田の映像を目にすることがあると思いますが、見るのと作るのでは全く違います。
田んぼ全体に酸素や栄養素が回るように田起こしをしないといけません。
田は収穫後に乾かしておいて土を空気に触れさせることが大切ですが、水を抜かれた田んぼは結構カチカチです。
面積は大したことがなくても、機械が入らないところでの力作業は結構大変
その後に代掻きといって水を張ってドロドロにかき混ぜて苗を植えます。
ところが、ほっと一安心とはいきません。
田んぼに水を入れたり止めたりは毎朝晩
時には用水路が詰まってしまうし、育っていく苗を食べる虫は現れるし、薬もまかないといけないし、
何より稲よりも元気な雑草がとんでもない勢いで育ってしまう。
毎日、田んぼに行く理由があるのです。
そうして、やっと収穫の時期を迎え、全部刈り取って、今度こそひと段落と思っていると
「稲わらをかける竹を準備したから、しばらく干しとくといい。」
とアドバイスを受ける。雨や風の天気予報が気になって
「干さなくてもいいのに」
と思うけれど、確かに干した米は旨かった。
(苦労が報われた喜びもあったから)
そんなこんなでやっと手に入る米作りを経験した私は、
最近のお米のニュースを見て
値段は気になるけれど、生産者の苦労や想いを思い出します。
キャリア教育で語られるのは当事者の経験や想い
色んな当事者の話を聞かせ、偏った知識に陥らない児童生徒を育てたいものです。
今回のお話はこれで終わります。
次回をお楽しみに。
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