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2025年2月11日火曜日

学校の勉強と社会の繋がり

 前回、「天領うどん」でのよのなか教室で、浸透圧のお話をしました。

そこで、思い出したのです。

以前、郷土の刀匠 松葉景正さんの鍛刀場を見学させて頂いた時のことを。

当時の校長をしていた私は、どうしても国語や数学などの成績にばかり目が行きがちな教員の見方を広げてもらいたくて、様々な工房で職員の研修をさせて頂きました。

大人になって

「俺って数学が得意だ。」

だけよりも、サックスを演奏したり、美味しい料理が作れたり、手作りの木工品などを趣味にしたり、絵画や写真に詳しい人の方が豊かだと感じていたからです。

ですから、職員には、踊り、木工職人、お茶などを生業とする方々の価値観を体験してもらいました。

つまり、国算社理よりも、図工、家庭科、音楽、体育に目を向けてもらったのです。

その一つが、松葉さんに鍛刀場だったのです。


鋼を鍛えるのは、思った以上に熱と力の仕事でした。

それなのに、出来上がる刀の繊細さ、波紋の美しさ、そして冷徹さは見事でした。


しかし、私が驚いたのはその芸術を支える知識でした。

もちろん、芸術は感性の部分が大きいのでしょうが、鋼を鍛える時に金属学的な知識は不可欠だというのです。

硬いだけでは脆いし、柔らかすぎてもだめ、純度を高めるためには1200度もの高温で何度も鍛えないといけないし、酸素管理、冷やし方も簡単ではない。

古来から伝わる秘伝というのは、案外、金属学なのかもしれません。


ですから、理科を学ばないといけない。

さらに、世界各国での作品展ともなれば英語での説明も必要。


学校での学びは、刀工にも繋がっていると感じたのです。


学校の学びは社会とつながっている。

これからも伝えたいと思っています。


今回のお話はここで終わります。

次回をお楽しみに。

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2025年2月5日水曜日

「天領うどん」 田崎社長のお話から

 昨日は、日向のソウルフード「天領うどん」で、中学生のよのなか教室を受け入れていただきました。

対応は、社長の田崎さん。

丁寧で分かりやすい説明、時折ジョークも交えての温かい雰囲気に子供たちもノリノリでした。

日頃は、決して足を踏み入れることのできない製麺機械、食材の下準備の現場など、興味津々の子供たちからはいろんな声が自然と漏れていました。

「すごーい」

「いいにおい」

「でっかい機械だな」

YouTubeなどでもいろんな人の働く画像を見ることはできますが、やはり現場は違います。

だしの匂いが漂っているし、

食材を切る音だけでなく振動も伝わってきます。

もちろん、仕事場の雰囲気や温度感も。


天領うどんは、令和3年度日向市「社員が輝く!先進企業」として表彰を受けた会社であり、

男女共同参画、ワークライフバランスを重視した労働環境に尽力されています。

ですから、生徒にとって社員さんの生き生きとした様子も学びになっと思います。


話は変わりますが、田崎社長は、美味しい麵を作るには、水と小麦と塩のバランスが大切だと教えてくださいました。

塩を混ぜることによって、浸透圧の関係から茹で上がりが変わるというのです。


中学校で習う「浸透圧」

濃度の異なる2つの液体が細胞膜を介して接したときに、水が濃度の高い方に移動する現象なのですが、まさか天領うどんさんでこの言葉を聞くとは思いませんでした。


だからこそ、社会で学ぶことは大切です。

学校で学ぶことは、社会のどこかに繋がっていると実感できますから。


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに。

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2025年2月3日月曜日

節分

昔、両親に「誰にも見られないように悪いことをしても、天が見てるよ。」

とよく脅されていました。

「天」とは、一体何かは分かりませんが、何でもお見通しらしいので、何となく怖い存在でした。

千と千尋の神隠しではありませんが、多神教である日本には多くの神が共存します。

北島三郎の「祭り」の歌詞にも「海の神、山の神、今年も本当にありがとう・・」


一神教では、違う神様を信じると異教徒として対立の対象となり、戦いは長引きます。

十字軍の遠征なんて200年弱も続いたし、今の中東問題もなかなか解決しそうにないのは、そんな問題も含まれているからでしょう。


さて、日本には、春夏秋冬それぞれの季節の区分がありました。

今で残っているのは、立春の前の日の節分「鬼は外・・」でしょうか。

もともと、鬼は鬼門とされている丑寅(北東)の方向からやってくると言われていました。

丑(牛)の角と寅(虎)の服を身にまとい怖い形相でやってくる鬼は、躾の役割を持っていたのかもしれません。

「悪い子はいないか?嘘つく子はいないか?」

ある意味、「天」の役割を担っていたのかも。


ところで、日向市キャリア教育支援センターのスタッフは、丑年が2名、寅年が1名。

こちらは違う意味で、牛の角と寅の服を心にまとい、しっかりと子供たちの未来づくりを支えたいものだと思っています。


今回のお話はここで終わります。

次回をお楽しみに

2025年2月2日日曜日

きっかけ格差(機会格差)

先週、日向市の商店会連合会の会合に参加させていただきました。

そこで、会長が仰ったのは、商店会の社会貢献でした。

商売ですから、損得も大切でしょうが、地域とともにある商店会では、人とのつながりを大切にされていることが木浦会長のお話から伝わってきました。

ところで、都市部と日向市の違いは、様々な機会の格差ではないでしょうか?

便利な交通システム、文化・スポーツなどの多様なイベント、ビルや橋の巨大インフラ そこで働く人など

都市部で目にする社会現象は、圧倒的な情報量で考える機会を生み出します。

文字を保存すると、(KB)キロバイト

音を保存すると、(MB)メガバイト (1MB=1000KB)

写真を保存すると、(GB)ギガバイト(1GB=1000MG)

映像を保存すると、(TB)テラバイト(1TB=1000GB)

情報量は、なんと1000倍ずつ

都市部で目にする様々な情報量に、ため息が出そうです。


では、地方には考える機会はないのか、きっかけはないのか


私は十分あるとあると思います。

前述の商店会の皆様のように、子供たちの手の届くところに、協力者がいるからです。

協力者は、翻訳者でもあります。

さまざまな事象を子供たちの反応を見ながら翻訳して、考えるきっかけを与えてくれます。

そういう意味では「きっかけ格差」は十分乗り切れるはずです。


今回のお話はここで終わります。

次回をお楽しみに。

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2025年1月30日木曜日

寺迫小6年 ~仕事必要な能力と態度~

昨日は、寺迫小学校で仕事に必要な能力や態度について、子ども達と一緒に考えてみました。

まずは、身近な職業として取り上げたのは「お医者さん」。

「あなたは、とっても気さくで優しいけれど、不器用な外科医と

厳しいけれど確かな腕を持つ外科医では、どちらに自分の命を託しますか?」

の質問に対して、全ての子供たちが後者を選びました。

単に優しいだけでは、命は救えませんからね。(患者側としては優しく腕の良い医師が一番でしょうが)

「では、お医者さんに求めたい能力や態度をチームでいくつか挙げてください。」

と投げかけたところ

・専門的な知識(新しい治療法も含めて、ちゃんと学んでいてほしい)

・素早い判断力(緊急の手術などでは、落ち着いて素早く処置してほしい)

・コミュニケーション力(CTやMRIからのデータだけでなく、患者本人の違和感などを探ってほしい)

など、よく考えられた発言が見られました。


そのあと、地元の製造業に従事する若者のエピソードを提示し、そこから大切だと思える能力や態度を抜き出してもらいました。

次にそれらに順番付けをするグループ学習の中で

その仕事だからこそ求められる専門性どの仕事でも求められる人間性を考えてもらっています。


来週は、(有)クリーン日向の鈴木睦代さんを講師に迎える寺迫小学校。

鈴木さんからも、仕事で求められる能力や態度をぜひ学び取ってもらいものです。


ところで、教師にも求められる能力と態度があるはずです。

「優しいけれど、子どもの力を伸ばせない教師、厳しいけれど子どもの力をグングン伸ばす教師」

前述のお医者さんの話ではありませんが、どっちが選ばれるのでしょうか?

小善は大悪に似たり、大善は非情に似たりという言葉もあります。

もう少し粘ればできそうな子に「もういいよ。」と助け船を出す教師と

慈愛に満ち溢れているからこそ心を鬼にして「まだ、やれるぞ!」と押し出す教師


いろんな価値観があるでしょうが、教師や親に求められる能力や態度を立ち止まって考えることも必要でしょうね。


今回のお話はここまでにします。

次回をお楽しみに

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2025年1月28日火曜日

新しい環境 小学校1年生

昨日、財光寺南小学校新1年生の保護者に話をさせていただきました。

伝えたいのは、10歳までの子育てはとても大切だということです。

中学校や高校の先生が

「この学級は、学力差が大きくて大変です。」

ということがありますが、そもそも差があることが普通であり、差がないことのほうが異常だと私は思います。

差があるからこそ、工夫が生まれたり、助け合うことを学べるのだと思うのです。


さて、小学校入学時の「差」は半端なものではありません。

堂々と100まで数えたり、漢字まで読める子がいるかと思えば

じっと座っていることさえ難しかったり、めちゃくちゃ恥ずかしがり屋の子がいたりと、それは大変です。

そういう意味では、小学校入学時の差に比べれば、卒業時の差はずいぶん埋まっていると言えるかもしれません。


そんな大きな差がある集団に入る新入生にとって学校は緊張の極み

それを助けてあげるのは、やっぱり家庭だと思うのです。

「今日はどうだった?」

「なるほど、そんなことがあったんだね。」

としっかり子供の本音を聞き出すことが、子どもの頑張るエネルギーを注入してあげることになるのです。

そうして、たっぷりのエネルギーを学校でつかい切って、また家庭で入れ直す

そんなことを大切にしてほしい。

自分を反省しながらそう思うのです。


忙しくて親の聞きたいことだけを聞いて会話をコントールするのは尋問

子ども自ら話しかけてくることをしっかり聞いてこそ伝わる子どもの本音


始まりは、しっかり本音を聞くところから


今回のお話はここで終わります。

次回をお楽しみに

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2025年1月27日月曜日

地元経営者に学ぶ~校長会研修会

昨日は、(株)ミツイシの黒木宏二社長をお招きして校長会の研修会でお話を伺いました。

(日本野菜ソムリエ協会主催第1回ドレッシング選手権で金賞に輝いた「日向夏ドレッシング」はミツイシの看板商品です。)

黒木社長から伝わったのは、「想いを社員と共有すること」

地域の財(たから)から価値を見出し、次世代を担う若者のあこがれる会社になることを目指している黒木社長ならではの内容でした。

地域の原料にこだわった真摯な商品づくりや、商品完成までのストーリーを大切にしていることがヒシヒシと伝わってきました。

しかし、そこに至るまでには黒木社長の様々な葛藤などもあったようです。

給与は高いけれども、毎日押しつぶされそうな満員電車で通勤し、他との競争に打ち勝ちながら都市部で生きることの価値観をいったん見直すところから始まっています。

地元には、声をかければ協力してくれる仲間がいる。

まだ、光は当たっていないけれども、磨けば光る「山の幸」や「海の幸」がある。

全国にドレッシング会社はいくつもある。

選んでもらうには、その商品ができるまでの物語が大切であり、その思いを共有するために社員の方々と向き合う時間を大切にしていることが印象的でした。

だからこそ、ミツイシの社員は、自分の会社に夢を持ち、地域の誇れる会社になろうと頑張っているのでしょう。


また、話の中で

・ミッションの大切さ

・人材育成

・伝統と新規事業

・リーダーの育成など

ご自分の経験をもとに、まさに現在進行形のお話でした。


参加された校長先生からは

・当たり前のことを徹底してやる。次世代を担う若者の憧れとなる。このことを学校としてしっかりと考えていきたいと感じた。

企業にとっても学校にとっても信頼が大切であり、応援されることが一番の推進力だと思います。そのためにも社員のモチベーションを高め、力をつけさせていきたいと思います。

などの感想がありました。


社長、校長と立場はちがいますが、未来の人づくりを共に進めたいものです。


今回のお話はここで終わります。

次回をお楽しみに

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学校の勉強と社会の繋がり

 前回、「天領うどん」でのよのなか教室で、浸透圧のお話をしました。 そこで、思い出したのです。 以前、郷土の 刀匠 松葉景正さんの鍛刀場を見学させて頂いた時のことを。 当時の校長をしていた私は、どうしても国語や数学などの成績にばかり目が行きがちな教員の見方を広げてもらいたくて、様...