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2025年6月17日火曜日

たどりつく力

 僻地の学校に勤めていた時、新入生は全員一輪車を乗るのが伝統になっていました。

町のイベントや学校の運動会で披露される一輪車の妙技は毎年、観衆の喝さいを浴びました。

今となっては良い思い出ですが、不安定な一輪車を学校全員が乗れるようになることがなぜ実現できたのでしょうか?

誰しも経験のある自転車は、左右に倒れるだけですが

一輪車は360度 全方向に倒れます。

時には頭から突っ込むし、背中からも落ちます。

その恐怖は結構なものです。

しかし、早い子で1週間、遅くとも1カ月で乗れるようになるのです。

もちろん、毎日練習するし、子どもたちなりのスモールステップがあります。

・まずは、乗って動かない

・片足から一歩だけ乗る

・両手を持ってもらって

・片手を持ってもらって

といった具合に乗るのですが、運動能力には個人差がありますから

当時の校長先生が出していた「一輪車免許証」が渡され始めると、なかなか乗れない子どもは焦ってきました。

それでも、先に乗れるようになった子がサポートしたり、声掛けしたりしながら、最後になってしまった子が運動場の端まで乗れた時、皆の笑顔がはじけました。


たかが、一輪車

しかし、ここには多くの示唆が含まれています。

・上達は、絶対個人差がある

・上達は、一直線ではなく、できない我慢の時間の先に一気に伸びる時を迎える

・上達は一人ぼっちではなく、励ましてくれる友がいて粘ってたどりつける。


学校は、楽しい方がいいし、無理強いはやめたい。

ただ、大勢の町民の前でさっそうと演技をし、誇らしげな笑顔の彼らには確かな努力がありました。


ところで、負荷のかかることは嫌ですし、避けたいのですが、

アメリカの心理学者であるエリザベス、ロバート・ビョルク夫妻は、「学習における望ましい困難」が必要なことを証明しています。

ただ授業を聞いたグループと、授業内容を他に教えなければならないグループでは

後者の方が圧倒的に負荷が高いですが、学習成果が極めて高いのです。


少しの困難を諦めずにやって成果を得た経験は、その後の人生に応用できます。

どこまでも行ける一輪車になりますから


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに

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