この夏、教職員、事業者、保護者、生徒など、対象と内容を変えながら「キャリア教育」の必要性や意義を説いてきました。
受講者の方々も、内容に理解や納得を示してくれました。
ただ、キャリア教育そのものが学力に与える影響、そもそもキャリア教育は学力の向上に寄与している のかどうかの証拠をしっかりとした形で示すのは難しいものです。
文部科学省のデータを見ると、
「キャリア教育にしっかり取り組んでいる学校ほど学力が高い」
となっていますが、残念ながら因果関係を示すものではありません。
あくまでも相関関係です。
学力を上げる要素は、生活習慣だったり、友人関係だったり、様々なものがありますので、どの要素が強く学力に影響したかを証明するのは難しいのです。
そんな中、8月26日に発表された
法政大学キャリアデザイン学部 酒井教授、遠藤准教授の研究は興味深いものでした。
過去には、体験的な進路指導活動が、総合的に見て、無業抑制効果があることを指摘していましたが、学力についての検証は不十分だったからです。
学力と対人基礎力や自己基礎力との関係性について述べています。
そこで、完璧な相関関係や因果関係が説明されているわけではありませんが、個別の証拠は見られます。
やっぱりなと思いました。
フランスの心理学者のビネーは、人間の知性を科学的に解明しました。
彼によると、人間の知能は3要素からなり
・論理力 学校の数学や算数
・言語 考えたことを言語化できなければ何も考えてないのと同じ
・熱意 やる気、モチベーション
であり、この3要素が一つでも欠けたら、頭が良いとは言えないらしいのです。
となると「やればできる」は誉め言葉ではありません。
やる気がないのは、1要素が欠けているのです。
「やる気」は点数化するのは難しい上に、国語や算数のように「やる気」という教科があるわけではありません。
見えない学力なのです。
見えないものですから重要な要素なのに軽視されます。
その見えない「やる気」を揺り起こすのが対人基礎力や自己基礎力であり、だからこそキャリア教育が大切なのです。
「やる気」のない子どもに勉強を強いるのは、時として罰にも見えますからね。
子どもの「やる気」にアプローチすること
私たちが最も大切にしたいミッションです。
今回のお話はこれで終わります。
次回をお楽しみに。
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