以前のブログ

2025年4月7日月曜日

ご先祖様の贈り物

以前、学校の管理職候補者向けの研修に、清武のキュウリ・ピーマン農家の方に話をしていただきました。

経営マインドを学んでももらおうと考えてのことです。

農業は厳しい経営環境のところが多いと聞いていましたので、その環境を打破した積極経営の話を期待してのことです。

確かに、年間を通じて収入につなげる作物のローテーション、機械化や販売域を広げる取り組みなど、非常に興味深かったのですが、今でも覚えているのは、「ご先祖様からの贈り物」の話です。

「地域の発展のためには、交通網の整備は大切です。そのために、農地の一部を道路にし、代わりの土地を提案されることがあります。しかし、私は、決してそれを受け入れません。」

素人の私は、代替の土地がもらえるのであれば、いいのではないかと思いましたが、彼は、

「畑の良しあしは、土です。しっかり鋤(す)きこまれた畑は、深さ1mくらいまで、絶妙の柔らかさで、水を逃がさず、ため込まず、養分もしっかり貯めこまれています。ですから、自分の畑はご先祖様からの贈り物なんです。」

「代替の土地を、自分の代で耕しても、せいぜい表土の20CMくらいしか畑らしい土には変わらないのです。だから、自分の土地を手放すというのは難しいのですよ。」

と続く説明に、納得させられました。

畑の価値が、面積やお金ではなく、それまでにかかった年数とは恐れ入りました。


さて、教育ではどうでしょう

これまでの教育をすべて是とする必要はありません。

ICT,AI、協働、探究など

時代の変化の速さに対応できていない現状は改善が必要でしょう。

一方

人を育むための「ご先祖様からの贈り物」も大切にしたい。

勤労、誠実、責任感、自己管理


この両面をキャリア教育でも大切にしたいと考えています。

今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに

前回はこちら



2025年4月6日日曜日

期待を裏切ろう!

「期待を裏切る」と聞けば、何だかマイナスなイメージ

しかし、ここで言う「期待を裏切る」とは、相手の期待以上の喜びや満足感をもたらすものを表しています。

これは、宮崎県の管理者研修でビール会社の社長に聞いたお話です。

「企業では、クレームが命です。一つ一つのクレームに対応していくことが、商品の質を高め、サービスの見直しにつながります。クレームに対応しないということは、自分たちの生み出す物で自己満足している状態で、改善は見込めません。もちろん、個別のクレームの中には首をかしげたくなるようなものも混じっています。しかし、我々は、消費者の期待を裏切ることで、成長をしてきました。」

だから

・怒鳴るようなクレームを受け止め、対応も丁寧で、自省に役立てている。

・ちょっとした味のリクエストに全原料を見直し改善してみる。

そこまでやるのかと感心しました。

しかし、学校ではクレーム担当の窓口が独立してませんから、こう上手くはいかないでしょう。

ただ、このクレームを改善につなげる姿勢は学べる気がします。

特に、自分たちが作るビールは現時点では最高だけど、まだまだ伸びしろがあると考える姿勢です。

あなたの最高傑作は、どれですかと尋ねられた芸術家が

「もちろん、次の作品です。」

と応じる感じに似ています。


新年度が始まり、学校も会社も、現状を是とせず、次の作品作りのヒントを柔軟に取り込める組織でありたいものです。

結局、生き残るものは強いものではなく、変化に対応できるものですからね。

今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに

2025年4月2日水曜日

新しいNOTE

新しい学年になると真っ白のノートに学びの跡が記されていきます。

今回は、学校でのノートについて考えてみましょう。


このトピックにした理由は、企業採用時、新卒学生の記録スキルのなさが話題になっているからです。

もちろん、スマホの写真機能を使えば、説明資料の保存はできますが、内容理解は遠いかもしれません。

その意味では、要点をメモする力は大切でしょう。

それにしても、小学校1年生から、毎日授業を何時間も受けて、黒板に書かれたものをノートしてきたのに、メモする力がないとは恥ずかしい限りです。

もしかしたら、子ども達にとっては、ノートの目的が、要点を整理することではなく、何も考えずに素早く黒板のものを写すことになっていたのかもしれません。

写すだけなら、そのほとんどは教科書にもっと詳しく書かれていますから、苦労の割には学びの効果は薄いという残念な結果を招きます。


昔、NHKの番組で、何も考えずに板書をノートに写したグループと自分で大切と思うことを考えてノートしたグループに、予告なしのテストをした実験がありました。

結果は、前者の平均点は20点、後者は60点。

その差はなんと3倍。

前者は受け身で思考が成立せず、

後者は前向きの思考が課されていますから、当然と言えば当然です。


今や大学では、黒板は使われず講義のPDFが学生に送られる時代です。

ノートを写す時代は終わっています。

新学期になって、ノートの取り方を工夫するのも一つの手でしょう。



日向市のキャリア教育では、ノートに考えやヒラメキを入れたりする力の大切さをよのなか先生に語ってほしいものだと考えています。

メモを取れる力が、子どもたちの次の世の中に繋がることを信じて


今回のお話はここで終わります

次回をお楽しみに

次回はこちら

前回はこちら

2025年4月1日火曜日

新学期の買い物

新年度になると、学校では新しい教科書と副教材と呼ばれるドリルや資料集が準備されます。

中学校までは「義務」教育ですから、教科書は無償ですが、残念ながら副教材は有償です。

その有償の物を採用するかどうかは各学校に任されており、学校によってその金額が異なります。

お子さんの沢山いるご家庭にとっては、毎月結構な金額を請求されてしまいます。


しかし、この副教材は、少し立ち止まって考える必要がある気がします。

学習内容の徹底した習得のために、問題集や学習プリントは効果的ではあります。

しかし、購入後の利用状況を考えると曖昧さを感じます。


普通、買い物は購入者が気に入って買います。

ユニクロだって、コーチの財布だってそうです。

ところが、学校で買わせる問題集や資料集は、教師が目的を持って「買わせた」ものですから、普通の買い物とは全く意味が違います。

なにしろ、児童・生徒や保護者にとっては、「買いたい」と思って買ったものではなく、「買いなさい」と言われて買ったものですから。

自分で選ぶ時、サイズや色味があってなかったら、違うものに交換します。

ところが、副教材は、そういきません。購入者の気持ちは置き去りにされてしまいます。

使うかどうか怪しい物にお金を払わされたら誰だっていい気持ちはしません。

最近のネットショッピングでは、気に入らなければ返品まで受け付けていますからね。


ですから、「学校で使うものだから」という大義名分を振りかざし、使わなかったのは子供の努力不足だと決めつけるのは、時代錯誤でしょう。

本センターのスタッフに聞いても、

「学校時代の教材は無駄が多かった。」「使いもしない辞書を大量に買わされた。」

と思い出を吐露してくれます。


この時代、副教材や辞書が使われずにきれいなままというのは許されません。


だからこそ、「買ってよかった」という満足感を使用する子供たちやお金を払ってくださる保護者に感じてもらうことが大切だと思うのです。


それが、あるる意味コンプライアンスを大切にしているとも考えます。


製造業では、「者に聞くな 物に聞け」という言葉が大切にされているとか

人の説明よりも出来上がった製品を見た方が仕事の丁寧さや工夫が実感できるという意味なのでしょう。


となれば、買わせた副教材が1年後にしっかり使い込まれていて、その様子から

「なるほど、この副教材を買ってよかった。」

と思わせる学校の努力が必要だともいえます。


その意味では、使い倒された副教材という「もの」を見せるところまでが、学校の責任です。

副教材選びは簡単ではないのです。


商取引の常識に疎い教員も、意識を変えるだけでサービスが違ってくるかもしれません。


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに。

次回はこちら

前回はこちら

2025年3月31日月曜日

「いってらっしゃい」と「ただいま」

新年度が始まりますね。

4月は進学や就職で生活が一変しますから、元日とは違う1年の始まりに緊張感も走ります。

学校では、4月2日生まれから翌年の4月1日生まれを同じ学年にします。

今年で言うなら、令和7年4月2日生まれから令和8年4月1日までが同じ学年

なんだか変ですよね。

しかし、これは法律で誕生日前日の24時に満年齢を迎えるとされているからです。

そうなると、令和7年4月1日生まれの人は、令和8年3月31日の24時に満1歳になります。

この考え方で行くと、閏年の2月29日生まれの人も毎年、2月28日に年を取ることができるのです。


明治時代に始まった4月はじまりの年度

年貢米から税を計算していた頃は、収穫米が納められる10月くらいの時代もあったとか

米不足の今の日本では、考えられませんね。


さて、講釈はここまでにし、

新年度も家庭や学校、会社での挨拶を大切にしたいものです。

以前、奥様をご病気で亡くされた方が、こんなことを仰っていました。

「どんなに仲がよくても、生活をしていれば、意見の合わないこともあるし、喧嘩にもなります。しかし、朝、喧嘩をして、『行ってらっしゃい』も言わずに送り出したら、あるいは送り出されたら、それが、生きているその人との最後のコミュニケーションになることだってあります。だからこそ、大切な人を送るときは、笑顔で言ってらっしゃいと言って送らないと後悔することになります。」

確かにその通りだなあと思ったのです。

 忙しい中で生活をしていると、家族への言葉かけも十分ではありません。明日もあると思って接しているからでしょう。

反省させられる示唆でした。

 学校ではどうでしょう。

 先生方は、下校する子ども達に笑顔で「さようなら」と言っているでしょうか。

注意のオンパレードで子ども達に下を向かせていないでしょうか。

 「いってきます」も「さようなら」も、笑顔の交換なら最高です。

家庭でも学校、会社でも、その笑顔や声かけが、大人の責任かもしれません。

そんな4月の始まりを迎えたいものです。

今回のお話はここまでにします。

次回をお楽しみに

次回はこちら

前回はこちら

2025年3月26日水曜日

書くことが苦手?

話し言葉と書き言葉が同じ英語と違って、日本語は明らかに言文が異なります。

話し言葉で、文章を書くと、何だか中身を薄く感じてしまうのはそのためでしょう。

逆に書き言葉で書かれたものをそのまま読み上げると、少し仰々しくなります。

言文不一致ですから大人になっても「書く」ことはなかなかハードルの高いものかもしれません。


しかし、困ったことに大人になっても、いろいろな機会に「書く」ことが求められます。

だからこそ、子どものうちにどう鍛えたらいいのか考えてみましょう。


「書く」から想像できる小中学生の活動と言えば、作文

得意だった記憶の人は少ないのでは?

何しろ、「思った通り書きなさい」と言われても、何を書いていいか分からないのですから。

仮に一つの作文を先生のアドバイスで書き上げたとしても、次もまたゼロからのスタートの場合が多いかもしれません。

なぜなら、書き「型」を習っていないからです。

いったん、型を習えば、後はそこに材料を入れるだけですが、その型が曖昧だと途方に暮れてしまうのは、当然です。


さて、「型」ができ上ると、次は目利きの段階に入ります。

料理人が美味しい料理を作るときに素材にこだわるのと同じです。

書く時も、良い材料集めが大切です。


加えて、料理人が毎日料理を作って腕を磨くのと同じで、書くことも毎日やっていかないと上手くならないから困ったものです。

しかも、出来上がったら、誰かにすぐに食べて(読んで)もらいたい。

料理がアツアツのうちに味わってもらって、感想をもらえればうれしいのと同じで

作文も、できるだけその日に読んでもらって感想がもらえれば次の作文を書くエネルギーになります。


ですから、この春休みに日記を書くお子さんがいる保護者さんは、アツアツのうちに読んで感想を伝えてみてはいかがでしょうか?



本年度のブログはいったん今日で終わります。

いつもアツアツを読んで頂き有難うございました。

では、次回をお楽しみに

次回はこちら

前回はこちら



2025年3月25日火曜日

馬耳東風

本日、日向市の小中学校では修了式を迎えました。

日本の四季は、変化に富んだ美しさがありますが、寒暖や風雨で人を鍛える側面もあります。

そんな日常を乗り越えて、修了式まで辿り着いた子供たちに拍手です。


さて、修了式を終えた子供たちの耳は確かに鍛えられたでしょうか?

まさか馬の耳になっていませんよね。


学校での馬の耳訓練は、学校放送で培われている笑えない側面があるかもしれません。

わざわざ、チャイムを入れて学校中を静かにさせておいて、特定の人にしか関係のない情報を放送し、静かに聞いていない子供たちを指導するのは、どうでしょう。

本来、放送はそこにいる大部分の人に関係があることか、緊急時に知らせたかったり、協力をお願いしたりすることに限定したいものです。


それなのに、自分に関係ない連絡を、自分の活動を止めてまで聞くことを強いられなら、聞いているふりをしなければなりません。

時々、学校放送を頻繁に使うツワモノ教師がいますが、これって意味があるでしょうか?

関係者にだけ伝わるように工夫すれば、解決できる問題です。


学校での指導が

「静かに放送を聞きなさい!」(あなたに関係なくても)

「ちゃんと最後まで放送を聞きなさい」(あなたに関係ないのは知っているけど)

を続けると、子供の耳は馬の耳に大変身するかもしれません。


つまり、学校での放送を聞く訓練とは、放送の内容を理解することではなく、静かに放送が終わるのを叱られずに待つものになってしまうのです。


聞き上手というのは、意見が違っていたとしても相手の言い分を正確に理解することです。

しかし、馬の耳訓練を続けていくと、入ってくる音をBGMにし、とりあえず話し終えるのを静かに待つ耳が育つのでは、心配になります。

現在、日向市は午後3時

何と風向きは「東」


修了式で校長先生や担任の先生から聞いたお話が馬耳東風になりませんように!


今日のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに。

前回はこちら

ご先祖様の贈り物

以前、学校の管理職候補者向けの研修に、清武のキュウリ・ピーマン農家の方に話をしていただきました。 経営マインドを学んでももらおうと考えてのことです。 農業は厳しい経営環境のところが多いと聞いていましたので、その環境を打破した積極経営の話を期待してのことです。 確かに、年間を通じて...