以前、学校の管理職候補者向けの研修に、清武のキュウリ・ピーマン農家の方に話をしていただきました。
経営マインドを学んでももらおうと考えてのことです。
農業は厳しい経営環境のところが多いと聞いていましたので、その環境を打破した積極経営の話を期待してのことです。
確かに、年間を通じて収入につなげる作物のローテーション、機械化や販売域を広げる取り組みなど、非常に興味深かったのですが、今でも覚えているのは、「ご先祖様からの贈り物」の話です。
「地域の発展のためには、交通網の整備は大切です。そのために、農地の一部を道路にし、代わりの土地を提案されることがあります。しかし、私は、決してそれを受け入れません。」
素人の私は、代替の土地がもらえるのであれば、いいのではないかと思いましたが、彼は、
「畑の良しあしは、土です。しっかり鋤(す)きこまれた畑は、深さ1mくらいまで、絶妙の柔らかさで、水を逃がさず、ため込まず、養分もしっかり貯めこまれています。ですから、自分の畑はご先祖様からの贈り物なんです。」
「代替の土地を、自分の代で耕しても、せいぜい表土の20CMくらいしか畑らしい土には変わらないのです。だから、自分の土地を手放すというのは難しいのですよ。」
と続く説明に、納得させられました。
畑の価値が、面積やお金ではなく、それまでにかかった年数とは恐れ入りました。
さて、教育ではどうでしょう
これまでの教育をすべて是とする必要はありません。
ICT,AI、協働、探究など
時代の変化の速さに対応できていない現状は改善が必要でしょう。
一方
人を育むための「ご先祖様からの贈り物」も大切にしたい。
勤労、誠実、責任感、自己管理
この両面をキャリア教育でも大切にしたいと考えています。
今回のお話はこれで終わります。
次回をお楽しみに