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2025年8月17日日曜日

個別最適な学び?

 学力の二極化が問題になっています。

学力分布のグラフは、山型から、ふたこぶ型へ変わってきました。

先生方は、大きな山をターゲットにした授業をやっていれば良かったのに、

その山が今や二つに分かれて、左右に移動し、峡谷になって、そこに子どもがあまりいないのですから、大変です。


できる子たちは、授業が始まって数分後には授業内容を理解し、退屈

できない子たちは、授業内容が難しくて、これまた退屈。


先生が熱弁をふるっても、その言葉をうけとめるのは少数の子ども達という笑えない状況もあります。

それならば、全部個人に任せてタブレット学習をやればいいかと思いきや

学習効果は、人に教えた時に一番発揮されるもの。

教えることはかなりの負荷がかかりますが、これがいいのです。

ですから、タブレットなどとのハイブリッドで行かなくてはなりません。


なぜなら、楽な勉強は、分かったつもりになりやすく、理解は中途半端だとアメリカの心理学者であるエリザベス、ロバート・ビョルク夫妻は証明しています。


見て分かるのは当たり前

思い出して、自分で編集したり、人に教えてこその理解です。

「学習における望ましい困難」

と名付けられています。


もちろん、上手な授業がいいに決まっているけれど、学習する方も「望ましい困難」に臨む覚悟がなければ、個別最適な学びは夢物語。

国の学力調査の結果が出て、宮崎県は苦戦しているようですが、これは子供だけでなく親の覚悟も問われていると思います。

頑張れば、分かるではなく、

スマホもやテレビなどのルールも含めて頑張れる環境を作れるかが問われていますからね。


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみ。

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2025年8月6日水曜日

寿命

先日読んだ、森沢明夫著の「たまちゃんのお使い便」は、いろいろと考えさせられました。

故郷には買い物難民となってしまっているお年寄りが多いと気付いた主人公が、あっさりと都会の仕事を辞め、軽トラックでの移動販売をするお話です。

宮崎県民にとって他人ごとではありません。

免許を返納したり、体の不具合で運転ができないお年寄りはわが故郷にも多いからです。


その物語の一部分が今も残っているので紹介します。

それは、たまちゃん(主人公)を応援していたおばあちゃんが死期を悟った場面です。

自分の体の変調から、死期を悟ったおばあちゃんは、淋しさが増していくのですが、なぜか悲しさを感じず、何かに慶ばれ、祝われているような気さえしてきます。

そこに、こんな表現がありました。


寿命

命を寿(ことほ)ぐ

命が最期を迎えるというのはおめでたいことなのだ。ああ、ありがとうございます。

なぜか、ふと両親とご先祖様に感謝の念を抱いた。

すると、母の胸に抱かれていた赤ん坊のような安心感に包まれて・・・

お迎えが来たのなら、ここに残していくみんなを心配させないよう、この世という奇跡に満ち溢れた素敵な旅先から、ちゃんと「帰ろう」と思った。あちらの世界に、「行く」のでも「逝く」のでもなく・・・


8月は広島、長崎、終戦記念日を迎えます。

現代でも意図しない形で命を落としてしまうことはあります。

みなが、命を寿ぐかたちで、一生を終えられるようになるといいなと願うばかりです。


来週はお盆ですね。

ちゃんとお迎えしなくては。


今回のお話はこれで終わります。

ブログはお盆明けに再開します。

次回をお楽しみに。

            


2025年8月5日火曜日

15年後の世界

 経済産業省のデータによると・・・

どこでも人手不足が叫ばれていますが、この15年で人手自体は足りてくる。

つまり、人に代わってAI・ロボットの活躍と労働のリスキリング(新たな職能開発)で200万人程度はカバーできそうだというのです。

ただ、働き手の希望と求人のミスマッチが、今以上大きくなりそうです。


事務、販売、サービス等の従事者は約300万人が余りそうなのに対して、AIやロボット等の活用を担う人材も同数の約300万人が不足しそうだというのです。

ところが、学生の文系志向がだんだん強くなり、中学校卒業時に4割程度いる理系志向の生徒が、その後、一気に激減

特に女子生徒にその傾向が強いとか。


多分、女子生徒の「フツー」が理系を選択しないことなのでしょう。

今でも大学の工学部の女子学生比率は2割以下です。

実際、数学や理科を役立てる仕事に就きたい割合は、諸外国の半分程度の25%前後。


この原因の一員として、探究的な(正解のない)学習が少なく、子どもたちが「科学の楽しさを感じる」機会も乏しいことがあげられます。

しかも、悲しいことにその割合は世界に比べて断トツの低さです。


実験や観察もせずに、動画を見せるだけの理科授業、問題集をさせるだけの個人学習。

入試のための勉強であり、探究することの楽しさを脇に置いてしまっていた結果です。

スーパーサイエンスハイスクールなどの実践では、問題集学習ではなく、実際の探究的な理科学習の方が生徒の学ぶ意欲が高まり、結果的に学習到達度も高いという報告が出ているにもかかわらずです。

確かに、観察や実験は準備も後片付けも大変ですが、子ども達の未来を考えると、学校での理数教育には改善が必要だと思うのは、私だけでしょうか?

未来予想に大人が無関心で、理系離れを黙認し、将来、子ども達を人手が余る分野で立ち往生させるわけにはいきません。


もちろん、学校だけの責任ではありません。

報告書では

公助(そろえる学び)

 税財源でカバーし公平性の観点から全ての子どもに等しく提供される

共助(多様な学び)

 社会との連携により、意欲ある学校・子どもの挑戦を積極的に支

自助(伸ばす学び)

 各家庭の経済状況や希望に応じて子どもたちが享受する(習い事・体験等)

が必要だとされています。本センターでは、公助、共助の部分をしっかりフォローし、魅力的な理系人材の「よのなか教室」を展開していきたいと考えています。


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに。

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2025年8月4日月曜日

夏休みだから

 今、各学校で「フツーを広げよう!」と講義をして回っています。

自分の価値観や世界観を限定しないで、少しジャンプして覗いてみる。

時には、肩車をしてもらって見渡してみることで、未来の選択肢を増やしてあげたいのです。


幸い日向市では、いろんな大人が、いろんな知恵を出して、子どものみならず、大人の「フツー」を広げてくれるイベントが沢山企画されています。

ただ、いつも思うのは

参加者が少ない。


日向市議会議員3名と高校生5名が登壇した「高校生と議員の夢のタッグ」

今年で一旦終わる「第15回ひむかの国こども落語全国大会」

沢山の息をのむような作品が並んだ「日向市美術展覧会」など

子ども達の参加の少なさが気になります。


今はネットでいくらでも質の高い文化に触れられますから、別に見に行かなくても

と思うかもしれませんが、ライブはやっぱり違います。

発表者の息遣いや緊張感、観衆の感動など、時には振動となって伝わってくることさえあります。

そして、この生の感覚こそが「フツー」をリニュアルしていくのです。


日向市では、今週末には「牧水短歌甲子園」が開催されます。

文科系バトルですが、31文字の中に込めた高校生たちの今が表現されていて

素晴らしい大会です。

行けば必ず自分のフツーが変わります。

行ってみませんか?


今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに







2025年8月3日日曜日

研修は続く・・

 7月30日は、午前中に日知屋東小学校、


午後は塩見小・富高小合同研修会にお邪魔しました。


どちらの会場でも、キャリア教育の基本を見直しました。

普通、一度受けた研修であれば、

「聞いたことがある」

「知っている」

と言って学ぶ構えが崩れやすくなります。

しかし、人間は案外、分かっているようで分かっていないのです。


例えば、毎週日曜日の夕方に見ていたサザエさんの顔は、十分知っています。

しかし、「描いてみましょう。」と受講者に書かせてみると

いろんなサザエさんが誕生します。

5円玉だってそう、知っているつもりでも、デザインを正確に思い出せる人は案外少ないものです。

ですから、虚心坦懐で学ぶ意味はあるのです。


両会場とも、本市の児童生徒の実態、保護者の意向、学校だけでは制限される価値観や教育活動、多様な知識や経験を持つ地域の大人の参画の重要性など、

実践例やエピソードを紹介しながら進めました。


頂いた感想の中には

私たち学校での役割がこどもたちの自立、社会性を育てるということ。狭いフツーではなくわたしたちのフツーで教えるのではなく、こどもたちのフツーを広げてあげるためにキャリア教育があるのだなと思いました。ぜひ二学期以降、様々な場面で社会とふれさせる、人とふれさせて語ってもらうチャンスを生かして行きたいと思います。」

「社会からの証拠」という言葉がありました。私が児童・生徒の頃は学校にたくさんの証拠、根拠を求めていたのを思い出し、改めて児童に証拠を提示することが大切だと感じました。」

など、多くの気づきが記されていました。

それぞれの学校の、子ども達の未来づくりが充実することを願っています。

今回のお話はこれで終わります。

次回をお楽しみに。

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個別最適な学び?

 学力の二極化が問題になっています。 学力分布のグラフは、山型から、ふたこぶ型へ変わってきました。 先生方は、大きな山をターゲットにした授業をやっていれば良かったのに、 その山が今や二つに分かれて、左右に移動し、峡谷になって、そこに子どもがあまりいないのですから、大変です。 でき...